2017年7月12日

新しい本 その2

水中書店では、古書のほかに新刊書籍やリトルプレスも取り扱っています。今日はそのなかからいくつかを紹介させていただこうと思います。気になるものが見つかったら、ぜひ足をお運びください。ついでに古書の棚もご覧いただけたら、とてもうれしいです。古本好きの方も、時々目線を新刊の棚にうつしてみると、思いがけない出会いがあるかも知れません。


藤原安紀子の本

詩誌『カナリス』5号
1,080円(定価)

詩集『ア ナザ ミミクリ』(書肆山田)
2,808円(定価)

藤原安紀子さんの詩をはじめて読んだときのことはよく覚えています。そのときまでに自分は「現代詩というやつはこういう風に読めばよいのだろう」という、自分なりのコツのようなものを掴んだようなつもりでいましたが、藤原さんの詩を読んでみると、その言葉の前ではそういう自分の粗末な武装のようなものがまったく意味をなさないものであることは明らかで、途方に暮れるしかなかったのでした。そうして途方に暮れつつも、その言葉の連なりの心地よさ、力づよさ、おおきな謎に、こころ動かされたのだと思います。Fさんの紹介で藤原さんの主宰する同人誌『カナリス』を取り扱うようになったのは昨年のことで、今回は最新の5号を入荷しました。今号から時里二郎さんが新同人として参加しています。
『ア ナザ ミミクリ』は2013年に刊行された藤原さんの詩集です。ご縁ありこの本も新刊として取り扱いさせていただいています。全冊署名入りです。


ある個人詩誌

『Obscurity』1号
300円(定価)

『Obscurity』は詩人の逸可実和子さんの個人詩誌。その創刊号を入荷しています。著者は市民の詩のサークルへの参加をきっかけに詩に親しむようになり、「ささやかだけれど大切な言葉の贈り物を循環している人たちの中に私も入っていけたら」と本誌の創刊にいたった決心を語られています。奇しくも、『現代詩手帖』7月号の「詩誌月評」で、藤原安紀子さんが本誌について触れられています。「おそるおそる掬い上げ、手のひらに乗せ、そっと磨いてみたり、時に大胆に削ったりしながら慈しんできた、言葉への作者の誠意と努力が紙面から窺える」。このちいさな詩誌とは、ぜひ弊店の棚で出会っていただきたいです。


うたの鞄と手帖

『かばん』2017年6月号
500円(定価)

『カイエ』6号
500円(定価)

ともに短歌同人誌である『かばん』と『カイエ』は毎号刊行の度に入荷している数少ないタイトルです。『かばん』2017年6月号は東直子さん、東こころさん、原田洋子さんによる巻頭の特別作品をはじめ、充実の内容。「今月の一冊」では尼崎武歌集『新しい猫背の星』が採りあげられています。四月号から表紙装画はカシワイさん。とてもすてきです。
『カイエ』6号には「水の短歌」と題されたテーマ詠に頁が割かれていて、「水中書店」の店主としてはとても興味深く読ませていただきました。「眠るときわたしは波の舟底にゆられて思う、ゆれては沈む」(窪田政男)「水際のあそびさみしくここからは夏にほどける花首を持つ」(稲泉真紀)。


今日のところはここまで。水曜日は、まだ本調子が出ないものです。

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