2017年5月26日

新しい本

水中書店では、古書のほかに新刊書籍やリトルプレスも取り扱っています。今日はそのなかからいくつかを紹介させていただこうと思います。ほんとうは入荷してすぐにこうして紹介できれば一番なのですが、なかなか手がまわらず、すみません。ゆっくりやっていこうと思います。


小池正博の本

句集『転校生は蟻まみれ』(編集工房ノア)
2,160円(定価)

句集『水牛の余波』(邑書林)
1,000円(特別価格)

柳人、小池正博さんのことは瀬戸夏子さんから教えていただきました。少し前のことです。その名前を頭の片隅におき、別の日にたまたま池袋のジュンク堂でセレクション柳人シリーズ『小池正博集』を見つけて、立ち読みして、「これは面白い」としずかな衝撃を受けたのでした。2016年に編集工房ノアから句集『転校生は蟻まみれ』を出されていることに気づきすぐに注文しましたが(弊店ではノアの本を新刊で扱っていますので)、まもなく版元品切れに。途方に暮れているときに小池さん自身のご厚意で、著者在庫を卸していただけることになりました。
「泥の穴蜂が入っていく浄土」(『転校生…』)、「常温の寂しさ 絵合わせだろう」(同)、「水牛の余波かきわけて逢いにゆく」(『水牛の…』)、「曇天の蜜柑畑に皇子の骨」(同)。
こうして小池さんの句集を棚に並べることができ、うれしいです。小池さん、瀬戸さん、そして大阪の葉ね文庫さん、ありがとうございました。


俳誌二冊

『オルガン』2号、4号、5号、6号、7号、8号、9号
1,000円(定価)

『奎』創刊号
1,000円(定価)

『オルガン』は福田若之、宮﨑莉々香、宮本佳世乃、生駒大祐、田島健一、鴇田智哉による俳句同人誌です。
その存在を知ったのは、S書店のFくんから教えてもらったのが最初だと思います。すぐに新宿の紀伊國屋書店でそのときに出ていた5号を買い、一読とても好きになりました。座談会では毎号それぞれに興味深いテーマが選ばれ、何よりも同人の俳句そのものに同時代文学としての一歩踏み込んでくるような感動を覚えたのでした。「蝶といふ呼称少しく水含む」(生駒大祐)や「手の書きし言葉に封をする手かな」(鴇田智哉)などの句が特に好きになりました。
最新号の9号では、歌人の斉藤斎藤を招いての座談会が行われています。短歌に関心のあるひとにもおすすめです。
『奎』は小池康生を代表にして、主に関西地方の若手俳人が集まり創刊された俳句雑誌です。100頁をこえるボリュームに、30名以上の同人作品とそれぞれの創刊に際してのことば、稲畑汀子へのインタビュー、連載評論と、とても充実した内容です。ここでも好きな句を見つけましたが、あまり長々と書くのもよくないのでは、などとも思い、このあたりで。
今気づいたのですが、この文章から敬称が略されていますね。文体が定まらず、すみません。


ゆめみるけんり

『ゆめみるけんり』Vol. 1
300円(定価)

『ゆめみるけんり』は今一番ひとにすすめたいリトルプレスのひとつです。本誌はR・フロスト、A・ブロークらの詩、N・フョードロフの評論、ミケランジェロの短文、F・ペソアのプロットのほか、ドローイングや詩などの創作で構成されています。彼らのマニフェストに耳を傾けてみましょう。
「"どうやって?"と私たちは呟くことになります。通勤電車、満員のなかでどうやって詩を擁護していけるというのか?」「私たちは、個として、朝起き、地獄のような電車に乗り、会社に入り、仕事をし、会社から出て帰路につく。そのルーティンには、詩の入り込む隙間がありません。」「しかし思うのです。この人を人とも思わぬ満員電車の最中で、社会のなかで、それでもなお、私には詩への権利がある。」「それはしかし、社会的なものに反対するものとしての詩ではありません。私たちには生活があり、社会があり、その第三の道オルタナティヴとして考えてみたらどうでしょうか。私たちにとって詩は生きる経験だ、とても脆く危ういが、それは私たちの可能性だ。そういうことを愚直に、あいもかわらず、信じ続けていけるために。」
彼らのこうした考えに、わたしはとても共感します。このちいさな詩の本を、ぜひ弊店で手に取っていただきたいです。巻頭のエピグラフには、もちろんバシュラールが引かれています。


もっともっとたくさんの本を紹介したかったのですが、体力と時間が無くなってしまったので、今日はここまで。また仕事の合間に、こういう風に紹介していければと思います。ではでは、今日のところはおやすみなさい。

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